ことばを図に
文章の構造を利用して説明の内容を図で現す、というのが今日のミッションです。
step-1 ことばを絵に、絵をことばに
今日の最初のステップは、ことばと絵それぞれの特徴と関係性を知ることです。
・ことばを絵に
まずは「猫」「食べる」「おはよう」など、さまざまなタイプのことばを絵で表してみます。
描き上がった絵だけを共有して、どんな特徴があるかを見てみると・・・。別の人が相談もせずに描いているのに、似たようなイメージになってしまっていますね。
これも表現のヒントです。このような共通のイメージを、積極的に利用したり意図的に避けたりすることによって、コミュニケーションを豊かなものにできるのです。
(参考リンク:絵で意味を伝えてみよう)
・絵をことばに
さて今度は、自分が描いたことを一度忘れて、目の前の「絵」が何を描いたものなのか、突っ込みを入れてみましょう。「さかな」「ねこ」はまだしも、「食べる」「ともだち」「お早う」は、全く違うことばに変わっていませんか?
・絵とことばを組み合わせる
そこでこれらの絵に、元のことばを添えてみます。すると、なんということでしょう!「ともだち」という絵は「ともだち」にしか見えないし、「お早う」は完璧に「お早う」というイメージに見えてしまうではありませんか。
さらに今度は、元の意図とはちがう別のことばと絵を組み合わせてみます。すると、そこには想像力をかき立てる様々なイメージが浮かび上がってきます。
これが視覚表現を用いたコミュニケーションの奥深い、面白いところです。
step-2 動きをことばで説明してみる
さあここからが今日のメインプロジェクト。「ことばを絵に」の“ことば”の部分の表現の練習です。
2人ペアになって、それぞれ自分のおもちゃの動きを相手に説明します。相方はその説明の内容をメモしながら聞いてあげます。説明が解りやすいか、自分が理解できたかもフィードバックしてあげましょう。
説明がうまくできたら、説明した側の人は、そのメモを元に自分のおもちゃの説明を文章にします。出来上がった文章は、声に出して読んでみると(さらに相方に聞かせてみると)その内容が解りやすいか、言葉足らずかどうかもわかります。
説明の順序や詳しさ、ことばの選び方が、解りやすい説明文をデザインするポイントです。
step-3 説明の持つ構造を視覚化
出来上がった文章を元に、おもちゃの動く仕組みを図(チャート:図式)にしていきます。
文章をよく眺めてみると、説明の手順ごとに、いくつかのまとまりになっているはずです。このまとまりごとにイラスト化し、それぞれを矢印などでつないでいくと、チャートが出来上がります。
step-4 作品化
今回の作品では、チャートを主役に、説明の文章も画面の中にレイアウトしてみます。雑誌の見開き記事のようなイメージを目指して、美しく、カッコいい画面に仕上げてください。
説明の順序に工夫はあるか、文字と絵の相乗効果を活かしているか、説明のつながりがデザインされているか(番号、矢印、補助線など)。説明を魅力的にするチャートのデザインができたでしょうか?
step-5 振り返り
今日の表現は、簡単に言ってしまえば「取り扱い説明図」ということになりますね。授業終了後にある学生が、「自分のやってたことがそのまま箱の裏に書かれていました(汗)」と言ってきてくれました。そう、そのとおり。単に手順を伝えるだけなら箇条書きでも良さそうですが、文字を努力して読むよりひとめ見た方が早いし、絵の方が直感的に要点をつかめて解った気になれる、など、チャートを積極的に使うことで知識の共有の可能性は広がります。ただし、図にすることで解りにくくなってしまうこともあるのです。各要素のレイアウト(余白の使い方、要素の並び順など)、番号や矢印の使い方、イラストの品質、説明文と図(絵)の位置関係、タイトルの付け方やことばの選び方・・・。気になりだすといくらでも改善の余地はあり、それらをクリアすればそれだけ表現の質も上がる、と言うまさにグラフィックデザインの王道がここにあります。今後、自分のノートやプレゼンテーションの度にこの経験を思い返して応用してみてください。
今日のおまけ
今回は授業で言い忘れてしまったこともいくつかあったので、この記事で補っています。
それと今日の課題は私(原田)も完成とまではいきませんでした。悔しい!学生の方はだんだん、こつをつかんできたような気もします。でも、仕事が速くても結果としてザツなものになってしまっては意味がありません。クオリティを常に意識して、楽しい表現活動を続けましょう。では、また来週。
2009年10月23日金曜日
09 第4回
構造を描く
二週間ぶりの授業です。前回は、ちょっと頭を使わなければなりませんでしたが、今回はどちらかというと体力勝負。さて。
step-1 そのまえにレイアウト
レイアウト=画面の中に要素を配置すること。ただそれだけの行為の奥深さ。
たとえば、自分の感性のなすがままの逐次的な表現と、予め材料を用意して計画的に配置していく表現とを比べてみると、明らかにその差が解ります。
まず画面の中に、最もかっこ良いと思われる位置に直線を描いて。次は最初の線を活かしつつ、重なっても良いので最もかっこ良いと思われる位置に矩形を描いて。つぎは円を描いて。つぎは三角形を描いて・・・。と、思いつくままに要素を描き加えていくと、それなりに作品に見えるような表現にはなりますが、そのクオリティは自己満足に過ぎません。
では、今描いた様々な図形を、今度は重ならないように、それぞれの要素の大きさの比率も考慮して整然と配置してみましょう。出来上がった表現は、逐次的に描いたものほどのダイナミックさはありませんが、説明的に各要素がはっきりと見えて、知的な美しさを醸し出します。
もうひとつのレイアウトのポイントは、余白のコントロールです。均等に配置する場合でも、要素間の余白をどれだけとるかによって、全体のまとまり感が変わってきます。また、関係の深い要素同士がひとまとまりに見えるように配置すれば、わざわざ新たな罫線で囲まなくても、それらをひとつの固まりとその要素として認識させることが出来るのです。
step-2 部品を並べてみる
さて、ここからが今日の本題。まずは、おもちゃの部品を一覧できるように並べてみましょう。step-1をふまえて、単に並べるのではなく、各パーツの関係を意識して、まとまりや繋がりを説明できるようなレイアウトを考えます。
step-3 構造の視覚化
つぎは、図解(illustration)に挑戦です。おもちゃの各部品の連動を透視図や組立図として描いてみます。
ここが今日のメインテーマ。動きを生み出す構造、つまり部品間の相互関係と全体像を理解しつつ,描いてみようという訳です。外からは見えないメカニズムを、どの角度から、どの部分を透過して表現したら、ひとつの2次元画像として説明できるでしょうか。
step-4 作品化
いつも通り、きょうもここまでの成果を作品としてまとめます。
今日の課題のポイントは、部品一覧と構造図を、一つの画面内にどのように関連づけてレイアウトするかです。色についても、おもちゃの色を再現するのでなく、配色による機能を工夫して、魅力的な構成を目指します。
今回は、おもちゃの部品という明確なカタチを持った素材があるので、丁寧に表現すればかなりまとまりのある作品に仕上げることができたと思います。部品一覧と構造図の関係については、工夫の余地が残っているなぁ。
step-5 振り返り
今日のテーマは「図解」、すなわち「イラストレーション」でした。見えない部分を見せる、光を当てる、明らかにする、説明する、というグラフィック表現に置ける情報デザインのど真ん中の表現を体験してもらいました。
「図解」表現は、日常の中でも特別な行動を要する場面で利用されます。たとえば新しい道具を使い始めるとき、組み立てるとき、たまにしか使わない道具(情報)と接するとき、ある事柄の背景や詳細を簡単に把握したい場合など、あなたも必ずお世話になっているはず。
「図解」を表現する場合は、ただ表面的なカタチをなぞるのではなく、その内部の本質的な部分に焦点を当てて表現者自身がまずのその構造を理解することが必要です。
このような説明のためのイラスト表現の巨匠!?として、デヴィッド・マコーレイを紹介しておきます。『The Way Things Work』をはじめとして、さまざまな説明的絵本が出ています。要チェック。
また、用語としての「イラストレーション」の説明はこちら。→イラストレーション(Wikipedia)
二週間ぶりの授業です。前回は、ちょっと頭を使わなければなりませんでしたが、今回はどちらかというと体力勝負。さて。
step-1 そのまえにレイアウト
レイアウト=画面の中に要素を配置すること。ただそれだけの行為の奥深さ。
たとえば、自分の感性のなすがままの逐次的な表現と、予め材料を用意して計画的に配置していく表現とを比べてみると、明らかにその差が解ります。
まず画面の中に、最もかっこ良いと思われる位置に直線を描いて。次は最初の線を活かしつつ、重なっても良いので最もかっこ良いと思われる位置に矩形を描いて。つぎは円を描いて。つぎは三角形を描いて・・・。と、思いつくままに要素を描き加えていくと、それなりに作品に見えるような表現にはなりますが、そのクオリティは自己満足に過ぎません。
では、今描いた様々な図形を、今度は重ならないように、それぞれの要素の大きさの比率も考慮して整然と配置してみましょう。出来上がった表現は、逐次的に描いたものほどのダイナミックさはありませんが、説明的に各要素がはっきりと見えて、知的な美しさを醸し出します。
もうひとつのレイアウトのポイントは、余白のコントロールです。均等に配置する場合でも、要素間の余白をどれだけとるかによって、全体のまとまり感が変わってきます。また、関係の深い要素同士がひとまとまりに見えるように配置すれば、わざわざ新たな罫線で囲まなくても、それらをひとつの固まりとその要素として認識させることが出来るのです。
step-2 部品を並べてみる
さて、ここからが今日の本題。まずは、おもちゃの部品を一覧できるように並べてみましょう。step-1をふまえて、単に並べるのではなく、各パーツの関係を意識して、まとまりや繋がりを説明できるようなレイアウトを考えます。
step-3 構造の視覚化
つぎは、図解(illustration)に挑戦です。おもちゃの各部品の連動を透視図や組立図として描いてみます。
ここが今日のメインテーマ。動きを生み出す構造、つまり部品間の相互関係と全体像を理解しつつ,描いてみようという訳です。外からは見えないメカニズムを、どの角度から、どの部分を透過して表現したら、ひとつの2次元画像として説明できるでしょうか。
step-4 作品化
いつも通り、きょうもここまでの成果を作品としてまとめます。
今日の課題のポイントは、部品一覧と構造図を、一つの画面内にどのように関連づけてレイアウトするかです。色についても、おもちゃの色を再現するのでなく、配色による機能を工夫して、魅力的な構成を目指します。
今回は、おもちゃの部品という明確なカタチを持った素材があるので、丁寧に表現すればかなりまとまりのある作品に仕上げることができたと思います。部品一覧と構造図の関係については、工夫の余地が残っているなぁ。
step-5 振り返り
今日のテーマは「図解」、すなわち「イラストレーション」でした。見えない部分を見せる、光を当てる、明らかにする、説明する、というグラフィック表現に置ける情報デザインのど真ん中の表現を体験してもらいました。
「図解」表現は、日常の中でも特別な行動を要する場面で利用されます。たとえば新しい道具を使い始めるとき、組み立てるとき、たまにしか使わない道具(情報)と接するとき、ある事柄の背景や詳細を簡単に把握したい場合など、あなたも必ずお世話になっているはず。
「図解」を表現する場合は、ただ表面的なカタチをなぞるのではなく、その内部の本質的な部分に焦点を当てて表現者自身がまずのその構造を理解することが必要です。
このような説明のためのイラスト表現の巨匠!?として、デヴィッド・マコーレイを紹介しておきます。『The Way Things Work』をはじめとして、さまざまな説明的絵本が出ています。要チェック。
また、用語としての「イラストレーション」の説明はこちら。→イラストレーション(Wikipedia)
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