2009年10月23日金曜日

09 第4回

構造を描く

二週間ぶりの授業です。前回は、ちょっと頭を使わなければなりませんでしたが、今回はどちらかというと体力勝負。さて。

step-1 そのまえにレイアウト


レイアウト=画面の中に要素を配置すること。ただそれだけの行為の奥深さ。
たとえば、自分の感性のなすがままの逐次的な表現と、予め材料を用意して計画的に配置していく表現とを比べてみると、明らかにその差が解ります。
まず画面の中に、最もかっこ良いと思われる位置に直線を描いて。次は最初の線を活かしつつ、重なっても良いので最もかっこ良いと思われる位置に矩形を描いて。つぎは円を描いて。つぎは三角形を描いて・・・。と、思いつくままに要素を描き加えていくと、それなりに作品に見えるような表現にはなりますが、そのクオリティは自己満足に過ぎません。
では、今描いた様々な図形を、今度は重ならないように、それぞれの要素の大きさの比率も考慮して整然と配置してみましょう。出来上がった表現は、逐次的に描いたものほどのダイナミックさはありませんが、説明的に各要素がはっきりと見えて、知的な美しさを醸し出します。


もうひとつのレイアウトのポイントは、余白のコントロールです。均等に配置する場合でも、要素間の余白をどれだけとるかによって、全体のまとまり感が変わってきます。また、関係の深い要素同士がひとまとまりに見えるように配置すれば、わざわざ新たな罫線で囲まなくても、それらをひとつの固まりとその要素として認識させることが出来るのです。

step-2 部品を並べてみる

さて、ここからが今日の本題。まずは、おもちゃの部品を一覧できるように並べてみましょう。step-1をふまえて、単に並べるのではなく、各パーツの関係を意識して、まとまりや繋がりを説明できるようなレイアウトを考えます。



step-3 構造の視覚化

つぎは、図解(illustration)に挑戦です。おもちゃの各部品の連動を透視図や組立図として描いてみます。

ここが今日のメインテーマ。動きを生み出す構造、つまり部品間の相互関係と全体像を理解しつつ,描いてみようという訳です。外からは見えないメカニズムを、どの角度から、どの部分を透過して表現したら、ひとつの2次元画像として説明できるでしょうか。

step-4 作品化

いつも通り、きょうもここまでの成果を作品としてまとめます。

今日の課題のポイントは、部品一覧と構造図を、一つの画面内にどのように関連づけてレイアウトするかです。色についても、おもちゃの色を再現するのでなく、配色による機能を工夫して、魅力的な構成を目指します。
ひもをひっぱる力とゴムがのびる力で手足がうごくおもちゃ糸が引っ張られることにより小鳥の首が下がる
ゼンマイで動くペンギン歯車のおもちゃ
今回は、おもちゃの部品という明確なカタチを持った素材があるので、丁寧に表現すればかなりまとまりのある作品に仕上げることができたと思います。部品一覧と構造図の関係については、工夫の余地が残っているなぁ。

step-5 振り返り

今日のテーマは「図解」、すなわち「イラストレーション」でした。見えない部分を見せる、光を当てる、明らかにする、説明する、というグラフィック表現に置ける情報デザインのど真ん中の表現を体験してもらいました。
「図解」表現は、日常の中でも特別な行動を要する場面で利用されます。たとえば新しい道具を使い始めるとき、組み立てるとき、たまにしか使わない道具(情報)と接するとき、ある事柄の背景や詳細を簡単に把握したい場合など、あなたも必ずお世話になっているはず。
「図解」を表現する場合は、ただ表面的なカタチをなぞるのではなく、その内部の本質的な部分に焦点を当てて表現者自身がまずのその構造を理解することが必要です。
このような説明のためのイラスト表現の巨匠!?として、デヴィッド・マコーレイを紹介しておきます。『The Way Things Work』をはじめとして、さまざまな説明的絵本が出ています。要チェック。
また、用語としての「イラストレーション」の説明はこちら。→イラストレーション(Wikipedia)

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