映像的な構成で描く
今回は、対象であるおもちゃが徐々に変化していく様子を、時系列に配置していくことによる図解表現を試みます。
step-1 動きを感じる表現
別の授業で、アニメーション表現の基本としての「仮現運動」について説明しました。人間は、コマ撮り写真のような複数の画像を連続してみたときにその差分を頭の中で動きとして認識している、ということですね。その発見が映画や様々な映像表現につながっています。
今日のテーマはこの映像的表現を図解表現に応用するということです。絵コンテなどのように、コマ(画面、フレーム)を並べて、動きの遷移を表現する訳ですが、そのとき意識すべきポイントをまずは確認しておきましょう。
その1:動きとは移動または変形
移動はオブジェクトそのものは変化させずに位置や比率を変えて動きを表す方法。比率をかえることによって奥行きや視点の移動を表現できる。
変形はオブジェクトの形状を変えてしまう動き。
その2:モノそのものの変化 or 背景の変化
動きを感じさせるためには、動いているものそのものを画面の中で移動・変化させるか、動く対象を固定して背景の方を動かす方法があります。
その3:視点の設定と視界(フレーム)の固定
画面の中で動きを感じるには、何か基準になるものが用意されていて、その基準となるものと動くオブジェクトとの相対的な関係によって、動いていると知覚できる。基準の一つは画面の枠(フレーム)で、これが固定されることでオブジェクトの位置や形が変化すると、オブジェクトかそれを見ている自分のどちらかが動いていると感じる。
これらのポイントをレイアウトと効果的に組み合わせることで、時間的な変化を説明するための図解表現を実現できるのだ。
▲練習問題:何フレームあればひとつの「動き」を説明できると思いますか?
step-2 おもちゃの「動き」を分解してみる
練習問題をふまえて、目の前のおもちゃの動きをフレームに分解して描いてみましょう。
描いた絵で動きを表現できているか、デジタルカメラで各フレームをコマ撮りにして確認しながら表現を絞り込みましょう。
step-3 作品化
A3サイズという限られたスペースに、何フレームに分割して「動き」をレイアウトするかが、今日の表現のポイント。
それから、表面的な動きに気を取られて、肝心なしくみの部分が表現されていないのも、課題に対する「こたえ」としてはもの足りません。
step-5 振り返り
レイアウトする時に、どの部分を基準にして、どれくらいの範囲をフレームとして想定するかが、今回の表現の鍵となります。
▲どこで区切るか:連続的なコマのどこで区切りを入れるかを検討しましょう。
▲意味のまとまり:関連する要素の配置、目線の誘導、余白の活用は必須。
▲揃える:基準となる部分をどのように揃えるかによって、動きや変化の明示さに差が出ます。縦に並べるか、横に並べるかも、基準次第。
▲フレーミング:どの範囲までを表示フレームとするかによって、動きの全体像の把握しやすさも変わります。
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