2009年9月25日金曜日

09 第1回

オリエンテーション

さて、新しい授業が始まりました。視覚表現の基礎をこの授業でどこまで理解してもらえるか、不安です。が、踏ん張ってやっていきましょう。

知識と技術の相互作用

この授業の目的は、視覚表現を中心としたデザインのための基本的な考え方と技法を身につけることです。2年生の後半というタイミングで、これまで学んできた基礎的な知識と技を再度確認しながら、これから始める専門課程に向けた準備をする、そんな時間として位置づけてほしい。プロを目指す「卵」としての心構えを、ここでしっかり確認しておきたいと思っています。
ということで、この授業のルールを以下のように明示しておきます。
・手を動かしながら学ぶ(まず表現ありき)
・時間内に仕上げる(期限までに結果を出す)
・プロを目指す人が集まる場として振る舞う(暗黙のルール)
まあ、当たり前のことですが、今時の若者はマニュアルが無いと行動できない、という説もあるので、明文化しておくことにしました。

ついでにマナーも明文化しておくと、
・道具は自己管理
・自分で調べる
・ノートを取る
・ちゃんとやっている人の邪魔をしない
と、これも当たり前のことですが、100人を超える受講者が、それぞれちゃんと結果を出すにはお互いがお互いを甘やかさないことが、大前提でしょう。


うごくおもちゃのしくみを説明する


これまで3年生の前期に解説していた演習科目の内容を半分に分けて、その前半部分をこの授業で実施することにしました。それが、課題テーマです。
受講生の皆さんには、様々な切り口で「動き」や「しくみ」を静的な視覚表現としてデザインしてもらいます。
おもちゃを素材に様々な視覚表現を試みることで、最終的にはひとり10種類を超える「動くおもちゃのしくみを説明する」表現が出来上がるわけですね。


図:たとえばこんなおもちゃ、と例を紹介しているところ

授業プログラム裏話

この授業の準備に当たって、「今、学生たちに伝えるべきことは何か」を随分と悩みました。
・物語る力(妄想力)の不足
・表現への欲望の淡白さ
(手が動かない、一度そこそこできればそれで満足)
・造形表現の出発点とも言える「美しい」という価値に対する
 自己基準のなさ
このような今どきの学生クンたちに対する不安、不満をどう解消するか?
「漫才のネタを作って実演(楽しませるコミュニケーションの基本、体を使った表現)」「ひたすら色彩構成(バウハウスへの回帰、アナログ表現からの再出発)」「博物館などを題材にしたWS(コンテンツデザインの課題と可能性を現場で考える)」・・・など、100名を超える受講生に向けた演習授業としての現実性もふまえて、あれこれイメージングしてみましたが、結局、「やっぱり、インフォグラフィックスかな」というところに落ち着きました。

視覚表現の基本として、「メッセージをカタチに落とし込む」という単なるお絵描きではない、共有し解り合うための表現、の入り口を学生たちに発見してもらおうと思います。

来週からの授業をお楽しみに。