作品制作 その1
さて、ここからはいよいよ最終課題としての作品制作に入ります。
テーマは「動くおもちゃのしくみ」。これまでやってきた試作表現をふまえ、作品としてインフォグラフィックス作品を作り上げます。おもちゃの動きの背景にある科学的な「知」をうまく表現に盛り込むことが条件です。
今日は時間内にまず一度かたちにする、という目標で制作活動を行いました。
2009年12月11日金曜日
09 第10回
国立科学博物館を見学
最終作品の制作に向けて、今日はちょっと視点を変えて、作品鑑賞。「作品」というのは、つまりプロの仕事、説明の現場「博物館」の展示物のことです。
あいにくの雨、でも空いてるからね
受講生の皆さんには申し訳ないのだが、基本的に私は「雨男」。イベントやプレゼンの日の雨率はかなり高いのです。ゴメンナサイ。
展示に埋め込まれた情報デザインを探せ
授業の中では「作品制作の参考のために」とだけ伝えましたが、実は展示空間には様々な情報デザイン、特にプレゼンテーションのテクニックが駆使されています。
奥行きを使った一覧性と鑑賞者の移動によるインタラクション
単に授業だからとか、指定された場所だけ、などと言わずに、学生クンたちがいろいろ発見してくれると嬉しいのですが。
「身近な科学」の視覚化
というより、視覚化によって科学を身近に、か?
さて、今回の授業としてのミッションは、地球館/たんけん広場(2F)を中心に、物理現象などかたちのないメッセージをどのように説明しているか、その手法を「盗んで」くることでした。選んだおもちゃそのまんまが展示されている人もいれば、関係性を実感できなかった人もいただろうな。何より、授業ではあるけど他者の表現を楽しんだり批判してるすることが重要なのだが、どこまでできていることか。
ちなみに私は、「科博」に行くたびにこの「霧箱」に釘付けです。
建物まで通り抜けて、これほどの宇宙線が飛び交っているとは、という驚き。でも、それ以上に小さな粒が霧箱の中を飛び交っている様子がとても神秘的です。
もうひとつ、今回初めて気づいたのは、「地震軌跡模型」。地震計のコーナーは結構好きで、必ず見に来るのだが、いつもは壁に投影される地震計のしくみのムービーに気を取られて、全く視界に入っていませんでした。今回はいつもと違うものをじっくり見ようと、目線を変えて眺めていたことで発見しました。かつて阪神大震災のときに新聞に載っていた、阪神大震災と釧路沖地震を比較する地震計の図を、わたしは情報デザイン事例のひとつとして宝物にしていますが、それは2次元上での表現。3次元化したものがあったとは。CGじゃなくて、針金で表現しているところにしびれました。
人間の目には見えないものをフィルタを通して情報化する。科学の分野に情報デザインは欠かせないと私は確信していますが、科学者やエンジニアの方たちは気づいてくれているかどうか?
最終作品の制作に向けて、今日はちょっと視点を変えて、作品鑑賞。「作品」というのは、つまりプロの仕事、説明の現場「博物館」の展示物のことです。
あいにくの雨、でも空いてるからね
受講生の皆さんには申し訳ないのだが、基本的に私は「雨男」。イベントやプレゼンの日の雨率はかなり高いのです。ゴメンナサイ。
展示に埋め込まれた情報デザインを探せ
授業の中では「作品制作の参考のために」とだけ伝えましたが、実は展示空間には様々な情報デザイン、特にプレゼンテーションのテクニックが駆使されています。
奥行きを使った一覧性と鑑賞者の移動によるインタラクション
単に授業だからとか、指定された場所だけ、などと言わずに、学生クンたちがいろいろ発見してくれると嬉しいのですが。
「身近な科学」の視覚化
というより、視覚化によって科学を身近に、か?
さて、今回の授業としてのミッションは、地球館/たんけん広場(2F)を中心に、物理現象などかたちのないメッセージをどのように説明しているか、その手法を「盗んで」くることでした。選んだおもちゃそのまんまが展示されている人もいれば、関係性を実感できなかった人もいただろうな。何より、授業ではあるけど他者の表現を楽しんだり批判してるすることが重要なのだが、どこまでできていることか。
ちなみに私は、「科博」に行くたびにこの「霧箱」に釘付けです。
建物まで通り抜けて、これほどの宇宙線が飛び交っているとは、という驚き。でも、それ以上に小さな粒が霧箱の中を飛び交っている様子がとても神秘的です。
もうひとつ、今回初めて気づいたのは、「地震軌跡模型」。地震計のコーナーは結構好きで、必ず見に来るのだが、いつもは壁に投影される地震計のしくみのムービーに気を取られて、全く視界に入っていませんでした。今回はいつもと違うものをじっくり見ようと、目線を変えて眺めていたことで発見しました。かつて阪神大震災のときに新聞に載っていた、阪神大震災と釧路沖地震を比較する地震計の図を、わたしは情報デザイン事例のひとつとして宝物にしていますが、それは2次元上での表現。3次元化したものがあったとは。CGじゃなくて、針金で表現しているところにしびれました。
人間の目には見えないものをフィルタを通して情報化する。科学の分野に情報デザインは欠かせないと私は確信していますが、科学者やエンジニアの方たちは気づいてくれているかどうか?
2009年12月4日金曜日
2009年11月27日金曜日
09 第8回
最終課題作品制作に向けて
津田沼祭(学園祭)で一週お休みでしたが、みなさん充電できましたか?
さて今日からは後半戦。基本はこれまで通り「時間内に決着」ですが、最終課題に向けて少しハードルを上げて行きます。ついてきてくださいね。
論理や概念の視覚化
今回はおもちゃの動きの背景にある物理現象を図解で説明することに挑戦してもらいます。
step-1 練習問題:説明の図解
実際には形として存在しない事柄を、図として視覚的に表現することは、デザイナーのスキルとして欠かせないものの一つです。これまでこの授業の中でチャレンジしてきた様々な図解表現を駆使して、説明的な文章から図解を紡ぎ出してみましょう。
ということで、「バイオ燃料」についての解説記事を題材に図表現にチャレンジしました。
フレーズ毎に絵解き的に図にできれば、入門編としては合格・・・
さらにそれらを統合して、全体を図に描ければ、インフォグラフィックスデザイナー適正、バッチリです。クラスの中にも何人か居ました。素晴らしい。
step-2 「説明」の視覚化
時分が選んだおもちゃの動きと、宿題として調べてきたそのおもちゃの動きにまつわる物理現象に関する知識を組み合わせて、説明インフォグラフィックスのためのアイデアスケッチを描き出しました。
step-3 模型を使った「説明」の準備
インフォグラフィックス制作の前に、模型を使った説明を試みます。今日のメイン作品はその模型制作のためのデザイン案をイラスト化すること。どんな模型を作るかをスケッチで表現し、次週の制作のための材料や加工方法について検討するのが目的です。
結果として、みんなあまり考えられていないなぁ。知らないことを表現するのは難しい。
次週の模型表現に期待します。
津田沼祭(学園祭)で一週お休みでしたが、みなさん充電できましたか?
さて今日からは後半戦。基本はこれまで通り「時間内に決着」ですが、最終課題に向けて少しハードルを上げて行きます。ついてきてくださいね。
論理や概念の視覚化
今回はおもちゃの動きの背景にある物理現象を図解で説明することに挑戦してもらいます。
step-1 練習問題:説明の図解
実際には形として存在しない事柄を、図として視覚的に表現することは、デザイナーのスキルとして欠かせないものの一つです。これまでこの授業の中でチャレンジしてきた様々な図解表現を駆使して、説明的な文章から図解を紡ぎ出してみましょう。
ということで、「バイオ燃料」についての解説記事を題材に図表現にチャレンジしました。
フレーズ毎に絵解き的に図にできれば、入門編としては合格・・・
さらにそれらを統合して、全体を図に描ければ、インフォグラフィックスデザイナー適正、バッチリです。クラスの中にも何人か居ました。素晴らしい。
step-2 「説明」の視覚化
時分が選んだおもちゃの動きと、宿題として調べてきたそのおもちゃの動きにまつわる物理現象に関する知識を組み合わせて、説明インフォグラフィックスのためのアイデアスケッチを描き出しました。
step-3 模型を使った「説明」の準備
インフォグラフィックス制作の前に、模型を使った説明を試みます。今日のメイン作品はその模型制作のためのデザイン案をイラスト化すること。どんな模型を作るかをスケッチで表現し、次週の制作のための材料や加工方法について検討するのが目的です。
結果として、みんなあまり考えられていないなぁ。知らないことを表現するのは難しい。
次週の模型表現に期待します。
2009年11月13日金曜日
09 第7回
映像的な構成で描く
今回は、対象であるおもちゃが徐々に変化していく様子を、時系列に配置していくことによる図解表現を試みます。
step-1 動きを感じる表現
別の授業で、アニメーション表現の基本としての「仮現運動」について説明しました。人間は、コマ撮り写真のような複数の画像を連続してみたときにその差分を頭の中で動きとして認識している、ということですね。その発見が映画や様々な映像表現につながっています。
今日のテーマはこの映像的表現を図解表現に応用するということです。絵コンテなどのように、コマ(画面、フレーム)を並べて、動きの遷移を表現する訳ですが、そのとき意識すべきポイントをまずは確認しておきましょう。
その1:動きとは移動または変形
移動はオブジェクトそのものは変化させずに位置や比率を変えて動きを表す方法。比率をかえることによって奥行きや視点の移動を表現できる。
変形はオブジェクトの形状を変えてしまう動き。
その2:モノそのものの変化 or 背景の変化
動きを感じさせるためには、動いているものそのものを画面の中で移動・変化させるか、動く対象を固定して背景の方を動かす方法があります。
その3:視点の設定と視界(フレーム)の固定
画面の中で動きを感じるには、何か基準になるものが用意されていて、その基準となるものと動くオブジェクトとの相対的な関係によって、動いていると知覚できる。基準の一つは画面の枠(フレーム)で、これが固定されることでオブジェクトの位置や形が変化すると、オブジェクトかそれを見ている自分のどちらかが動いていると感じる。
これらのポイントをレイアウトと効果的に組み合わせることで、時間的な変化を説明するための図解表現を実現できるのだ。
▲練習問題:何フレームあればひとつの「動き」を説明できると思いますか?
step-2 おもちゃの「動き」を分解してみる
練習問題をふまえて、目の前のおもちゃの動きをフレームに分解して描いてみましょう。
描いた絵で動きを表現できているか、デジタルカメラで各フレームをコマ撮りにして確認しながら表現を絞り込みましょう。
step-3 作品化
A3サイズという限られたスペースに、何フレームに分割して「動き」をレイアウトするかが、今日の表現のポイント。
それから、表面的な動きに気を取られて、肝心なしくみの部分が表現されていないのも、課題に対する「こたえ」としてはもの足りません。
step-5 振り返り
レイアウトする時に、どの部分を基準にして、どれくらいの範囲をフレームとして想定するかが、今回の表現の鍵となります。
▲どこで区切るか:連続的なコマのどこで区切りを入れるかを検討しましょう。
▲意味のまとまり:関連する要素の配置、目線の誘導、余白の活用は必須。
▲揃える:基準となる部分をどのように揃えるかによって、動きや変化の明示さに差が出ます。縦に並べるか、横に並べるかも、基準次第。
▲フレーミング:どの範囲までを表示フレームとするかによって、動きの全体像の把握しやすさも変わります。
今回は、対象であるおもちゃが徐々に変化していく様子を、時系列に配置していくことによる図解表現を試みます。
step-1 動きを感じる表現
別の授業で、アニメーション表現の基本としての「仮現運動」について説明しました。人間は、コマ撮り写真のような複数の画像を連続してみたときにその差分を頭の中で動きとして認識している、ということですね。その発見が映画や様々な映像表現につながっています。
今日のテーマはこの映像的表現を図解表現に応用するということです。絵コンテなどのように、コマ(画面、フレーム)を並べて、動きの遷移を表現する訳ですが、そのとき意識すべきポイントをまずは確認しておきましょう。
その1:動きとは移動または変形
移動はオブジェクトそのものは変化させずに位置や比率を変えて動きを表す方法。比率をかえることによって奥行きや視点の移動を表現できる。
変形はオブジェクトの形状を変えてしまう動き。
その2:モノそのものの変化 or 背景の変化
動きを感じさせるためには、動いているものそのものを画面の中で移動・変化させるか、動く対象を固定して背景の方を動かす方法があります。
その3:視点の設定と視界(フレーム)の固定
画面の中で動きを感じるには、何か基準になるものが用意されていて、その基準となるものと動くオブジェクトとの相対的な関係によって、動いていると知覚できる。基準の一つは画面の枠(フレーム)で、これが固定されることでオブジェクトの位置や形が変化すると、オブジェクトかそれを見ている自分のどちらかが動いていると感じる。
これらのポイントをレイアウトと効果的に組み合わせることで、時間的な変化を説明するための図解表現を実現できるのだ。
▲練習問題:何フレームあればひとつの「動き」を説明できると思いますか?
step-2 おもちゃの「動き」を分解してみる
練習問題をふまえて、目の前のおもちゃの動きをフレームに分解して描いてみましょう。
描いた絵で動きを表現できているか、デジタルカメラで各フレームをコマ撮りにして確認しながら表現を絞り込みましょう。
step-3 作品化
A3サイズという限られたスペースに、何フレームに分割して「動き」をレイアウトするかが、今日の表現のポイント。
それから、表面的な動きに気を取られて、肝心なしくみの部分が表現されていないのも、課題に対する「こたえ」としてはもの足りません。
step-5 振り返り
レイアウトする時に、どの部分を基準にして、どれくらいの範囲をフレームとして想定するかが、今回の表現の鍵となります。
▲どこで区切るか:連続的なコマのどこで区切りを入れるかを検討しましょう。
▲意味のまとまり:関連する要素の配置、目線の誘導、余白の活用は必須。
▲揃える:基準となる部分をどのように揃えるかによって、動きや変化の明示さに差が出ます。縦に並べるか、横に並べるかも、基準次第。
▲フレーミング:どの範囲までを表示フレームとするかによって、動きの全体像の把握しやすさも変わります。
2009年11月6日金曜日
09 第6回
ことばを図に
文章の構造を利用して説明の内容を図で現す、というのが今日のミッションです。
step-1 ことばを絵に、絵をことばに
今日の最初のステップは、ことばと絵それぞれの特徴と関係性を知ることです。
・ことばを絵に
まずは「猫」「食べる」「おはよう」など、さまざまなタイプのことばを絵で表してみます。
描き上がった絵だけを共有して、どんな特徴があるかを見てみると・・・。別の人が相談もせずに描いているのに、似たようなイメージになってしまっていますね。
これも表現のヒントです。このような共通のイメージを、積極的に利用したり意図的に避けたりすることによって、コミュニケーションを豊かなものにできるのです。
(参考リンク:絵で意味を伝えてみよう)
・絵をことばに
さて今度は、自分が描いたことを一度忘れて、目の前の「絵」が何を描いたものなのか、突っ込みを入れてみましょう。「さかな」「ねこ」はまだしも、「食べる」「ともだち」「お早う」は、全く違うことばに変わっていませんか?
・絵とことばを組み合わせる
そこでこれらの絵に、元のことばを添えてみます。すると、なんということでしょう!「ともだち」という絵は「ともだち」にしか見えないし、「お早う」は完璧に「お早う」というイメージに見えてしまうではありませんか。
さらに今度は、元の意図とはちがう別のことばと絵を組み合わせてみます。すると、そこには想像力をかき立てる様々なイメージが浮かび上がってきます。
これが視覚表現を用いたコミュニケーションの奥深い、面白いところです。
step-2 動きをことばで説明してみる
さあここからが今日のメインプロジェクト。「ことばを絵に」の“ことば”の部分の表現の練習です。
2人ペアになって、それぞれ自分のおもちゃの動きを相手に説明します。相方はその説明の内容をメモしながら聞いてあげます。説明が解りやすいか、自分が理解できたかもフィードバックしてあげましょう。
説明がうまくできたら、説明した側の人は、そのメモを元に自分のおもちゃの説明を文章にします。出来上がった文章は、声に出して読んでみると(さらに相方に聞かせてみると)その内容が解りやすいか、言葉足らずかどうかもわかります。
説明の順序や詳しさ、ことばの選び方が、解りやすい説明文をデザインするポイントです。
step-3 説明の持つ構造を視覚化
出来上がった文章を元に、おもちゃの動く仕組みを図(チャート:図式)にしていきます。
文章をよく眺めてみると、説明の手順ごとに、いくつかのまとまりになっているはずです。このまとまりごとにイラスト化し、それぞれを矢印などでつないでいくと、チャートが出来上がります。
step-4 作品化
今回の作品では、チャートを主役に、説明の文章も画面の中にレイアウトしてみます。雑誌の見開き記事のようなイメージを目指して、美しく、カッコいい画面に仕上げてください。
説明の順序に工夫はあるか、文字と絵の相乗効果を活かしているか、説明のつながりがデザインされているか(番号、矢印、補助線など)。説明を魅力的にするチャートのデザインができたでしょうか?
step-5 振り返り
今日の表現は、簡単に言ってしまえば「取り扱い説明図」ということになりますね。授業終了後にある学生が、「自分のやってたことがそのまま箱の裏に書かれていました(汗)」と言ってきてくれました。そう、そのとおり。単に手順を伝えるだけなら箇条書きでも良さそうですが、文字を努力して読むよりひとめ見た方が早いし、絵の方が直感的に要点をつかめて解った気になれる、など、チャートを積極的に使うことで知識の共有の可能性は広がります。ただし、図にすることで解りにくくなってしまうこともあるのです。各要素のレイアウト(余白の使い方、要素の並び順など)、番号や矢印の使い方、イラストの品質、説明文と図(絵)の位置関係、タイトルの付け方やことばの選び方・・・。気になりだすといくらでも改善の余地はあり、それらをクリアすればそれだけ表現の質も上がる、と言うまさにグラフィックデザインの王道がここにあります。今後、自分のノートやプレゼンテーションの度にこの経験を思い返して応用してみてください。
今日のおまけ
今回は授業で言い忘れてしまったこともいくつかあったので、この記事で補っています。
それと今日の課題は私(原田)も完成とまではいきませんでした。悔しい!学生の方はだんだん、こつをつかんできたような気もします。でも、仕事が速くても結果としてザツなものになってしまっては意味がありません。クオリティを常に意識して、楽しい表現活動を続けましょう。では、また来週。
文章の構造を利用して説明の内容を図で現す、というのが今日のミッションです。
step-1 ことばを絵に、絵をことばに
今日の最初のステップは、ことばと絵それぞれの特徴と関係性を知ることです。
・ことばを絵に
まずは「猫」「食べる」「おはよう」など、さまざまなタイプのことばを絵で表してみます。
描き上がった絵だけを共有して、どんな特徴があるかを見てみると・・・。別の人が相談もせずに描いているのに、似たようなイメージになってしまっていますね。
これも表現のヒントです。このような共通のイメージを、積極的に利用したり意図的に避けたりすることによって、コミュニケーションを豊かなものにできるのです。
(参考リンク:絵で意味を伝えてみよう)
・絵をことばに
さて今度は、自分が描いたことを一度忘れて、目の前の「絵」が何を描いたものなのか、突っ込みを入れてみましょう。「さかな」「ねこ」はまだしも、「食べる」「ともだち」「お早う」は、全く違うことばに変わっていませんか?
・絵とことばを組み合わせる
そこでこれらの絵に、元のことばを添えてみます。すると、なんということでしょう!「ともだち」という絵は「ともだち」にしか見えないし、「お早う」は完璧に「お早う」というイメージに見えてしまうではありませんか。
さらに今度は、元の意図とはちがう別のことばと絵を組み合わせてみます。すると、そこには想像力をかき立てる様々なイメージが浮かび上がってきます。
これが視覚表現を用いたコミュニケーションの奥深い、面白いところです。
step-2 動きをことばで説明してみる
さあここからが今日のメインプロジェクト。「ことばを絵に」の“ことば”の部分の表現の練習です。
2人ペアになって、それぞれ自分のおもちゃの動きを相手に説明します。相方はその説明の内容をメモしながら聞いてあげます。説明が解りやすいか、自分が理解できたかもフィードバックしてあげましょう。
説明がうまくできたら、説明した側の人は、そのメモを元に自分のおもちゃの説明を文章にします。出来上がった文章は、声に出して読んでみると(さらに相方に聞かせてみると)その内容が解りやすいか、言葉足らずかどうかもわかります。
説明の順序や詳しさ、ことばの選び方が、解りやすい説明文をデザインするポイントです。
step-3 説明の持つ構造を視覚化
出来上がった文章を元に、おもちゃの動く仕組みを図(チャート:図式)にしていきます。
文章をよく眺めてみると、説明の手順ごとに、いくつかのまとまりになっているはずです。このまとまりごとにイラスト化し、それぞれを矢印などでつないでいくと、チャートが出来上がります。
step-4 作品化
今回の作品では、チャートを主役に、説明の文章も画面の中にレイアウトしてみます。雑誌の見開き記事のようなイメージを目指して、美しく、カッコいい画面に仕上げてください。
説明の順序に工夫はあるか、文字と絵の相乗効果を活かしているか、説明のつながりがデザインされているか(番号、矢印、補助線など)。説明を魅力的にするチャートのデザインができたでしょうか?
step-5 振り返り
今日の表現は、簡単に言ってしまえば「取り扱い説明図」ということになりますね。授業終了後にある学生が、「自分のやってたことがそのまま箱の裏に書かれていました(汗)」と言ってきてくれました。そう、そのとおり。単に手順を伝えるだけなら箇条書きでも良さそうですが、文字を努力して読むよりひとめ見た方が早いし、絵の方が直感的に要点をつかめて解った気になれる、など、チャートを積極的に使うことで知識の共有の可能性は広がります。ただし、図にすることで解りにくくなってしまうこともあるのです。各要素のレイアウト(余白の使い方、要素の並び順など)、番号や矢印の使い方、イラストの品質、説明文と図(絵)の位置関係、タイトルの付け方やことばの選び方・・・。気になりだすといくらでも改善の余地はあり、それらをクリアすればそれだけ表現の質も上がる、と言うまさにグラフィックデザインの王道がここにあります。今後、自分のノートやプレゼンテーションの度にこの経験を思い返して応用してみてください。
今日のおまけ
今回は授業で言い忘れてしまったこともいくつかあったので、この記事で補っています。
それと今日の課題は私(原田)も完成とまではいきませんでした。悔しい!学生の方はだんだん、こつをつかんできたような気もします。でも、仕事が速くても結果としてザツなものになってしまっては意味がありません。クオリティを常に意識して、楽しい表現活動を続けましょう。では、また来週。
2009年10月30日金曜日
2009年10月23日金曜日
09 第4回
構造を描く
二週間ぶりの授業です。前回は、ちょっと頭を使わなければなりませんでしたが、今回はどちらかというと体力勝負。さて。
step-1 そのまえにレイアウト
レイアウト=画面の中に要素を配置すること。ただそれだけの行為の奥深さ。
たとえば、自分の感性のなすがままの逐次的な表現と、予め材料を用意して計画的に配置していく表現とを比べてみると、明らかにその差が解ります。
まず画面の中に、最もかっこ良いと思われる位置に直線を描いて。次は最初の線を活かしつつ、重なっても良いので最もかっこ良いと思われる位置に矩形を描いて。つぎは円を描いて。つぎは三角形を描いて・・・。と、思いつくままに要素を描き加えていくと、それなりに作品に見えるような表現にはなりますが、そのクオリティは自己満足に過ぎません。
では、今描いた様々な図形を、今度は重ならないように、それぞれの要素の大きさの比率も考慮して整然と配置してみましょう。出来上がった表現は、逐次的に描いたものほどのダイナミックさはありませんが、説明的に各要素がはっきりと見えて、知的な美しさを醸し出します。
もうひとつのレイアウトのポイントは、余白のコントロールです。均等に配置する場合でも、要素間の余白をどれだけとるかによって、全体のまとまり感が変わってきます。また、関係の深い要素同士がひとまとまりに見えるように配置すれば、わざわざ新たな罫線で囲まなくても、それらをひとつの固まりとその要素として認識させることが出来るのです。
step-2 部品を並べてみる
さて、ここからが今日の本題。まずは、おもちゃの部品を一覧できるように並べてみましょう。step-1をふまえて、単に並べるのではなく、各パーツの関係を意識して、まとまりや繋がりを説明できるようなレイアウトを考えます。
step-3 構造の視覚化
つぎは、図解(illustration)に挑戦です。おもちゃの各部品の連動を透視図や組立図として描いてみます。
ここが今日のメインテーマ。動きを生み出す構造、つまり部品間の相互関係と全体像を理解しつつ,描いてみようという訳です。外からは見えないメカニズムを、どの角度から、どの部分を透過して表現したら、ひとつの2次元画像として説明できるでしょうか。
step-4 作品化
いつも通り、きょうもここまでの成果を作品としてまとめます。
今日の課題のポイントは、部品一覧と構造図を、一つの画面内にどのように関連づけてレイアウトするかです。色についても、おもちゃの色を再現するのでなく、配色による機能を工夫して、魅力的な構成を目指します。
今回は、おもちゃの部品という明確なカタチを持った素材があるので、丁寧に表現すればかなりまとまりのある作品に仕上げることができたと思います。部品一覧と構造図の関係については、工夫の余地が残っているなぁ。
step-5 振り返り
今日のテーマは「図解」、すなわち「イラストレーション」でした。見えない部分を見せる、光を当てる、明らかにする、説明する、というグラフィック表現に置ける情報デザインのど真ん中の表現を体験してもらいました。
「図解」表現は、日常の中でも特別な行動を要する場面で利用されます。たとえば新しい道具を使い始めるとき、組み立てるとき、たまにしか使わない道具(情報)と接するとき、ある事柄の背景や詳細を簡単に把握したい場合など、あなたも必ずお世話になっているはず。
「図解」を表現する場合は、ただ表面的なカタチをなぞるのではなく、その内部の本質的な部分に焦点を当てて表現者自身がまずのその構造を理解することが必要です。
このような説明のためのイラスト表現の巨匠!?として、デヴィッド・マコーレイを紹介しておきます。『The Way Things Work』をはじめとして、さまざまな説明的絵本が出ています。要チェック。
また、用語としての「イラストレーション」の説明はこちら。→イラストレーション(Wikipedia)
二週間ぶりの授業です。前回は、ちょっと頭を使わなければなりませんでしたが、今回はどちらかというと体力勝負。さて。
step-1 そのまえにレイアウト
レイアウト=画面の中に要素を配置すること。ただそれだけの行為の奥深さ。
たとえば、自分の感性のなすがままの逐次的な表現と、予め材料を用意して計画的に配置していく表現とを比べてみると、明らかにその差が解ります。
まず画面の中に、最もかっこ良いと思われる位置に直線を描いて。次は最初の線を活かしつつ、重なっても良いので最もかっこ良いと思われる位置に矩形を描いて。つぎは円を描いて。つぎは三角形を描いて・・・。と、思いつくままに要素を描き加えていくと、それなりに作品に見えるような表現にはなりますが、そのクオリティは自己満足に過ぎません。
では、今描いた様々な図形を、今度は重ならないように、それぞれの要素の大きさの比率も考慮して整然と配置してみましょう。出来上がった表現は、逐次的に描いたものほどのダイナミックさはありませんが、説明的に各要素がはっきりと見えて、知的な美しさを醸し出します。
もうひとつのレイアウトのポイントは、余白のコントロールです。均等に配置する場合でも、要素間の余白をどれだけとるかによって、全体のまとまり感が変わってきます。また、関係の深い要素同士がひとまとまりに見えるように配置すれば、わざわざ新たな罫線で囲まなくても、それらをひとつの固まりとその要素として認識させることが出来るのです。
step-2 部品を並べてみる
さて、ここからが今日の本題。まずは、おもちゃの部品を一覧できるように並べてみましょう。step-1をふまえて、単に並べるのではなく、各パーツの関係を意識して、まとまりや繋がりを説明できるようなレイアウトを考えます。
step-3 構造の視覚化
つぎは、図解(illustration)に挑戦です。おもちゃの各部品の連動を透視図や組立図として描いてみます。
ここが今日のメインテーマ。動きを生み出す構造、つまり部品間の相互関係と全体像を理解しつつ,描いてみようという訳です。外からは見えないメカニズムを、どの角度から、どの部分を透過して表現したら、ひとつの2次元画像として説明できるでしょうか。
step-4 作品化
いつも通り、きょうもここまでの成果を作品としてまとめます。
今日の課題のポイントは、部品一覧と構造図を、一つの画面内にどのように関連づけてレイアウトするかです。色についても、おもちゃの色を再現するのでなく、配色による機能を工夫して、魅力的な構成を目指します。
今回は、おもちゃの部品という明確なカタチを持った素材があるので、丁寧に表現すればかなりまとまりのある作品に仕上げることができたと思います。部品一覧と構造図の関係については、工夫の余地が残っているなぁ。
step-5 振り返り
今日のテーマは「図解」、すなわち「イラストレーション」でした。見えない部分を見せる、光を当てる、明らかにする、説明する、というグラフィック表現に置ける情報デザインのど真ん中の表現を体験してもらいました。
「図解」表現は、日常の中でも特別な行動を要する場面で利用されます。たとえば新しい道具を使い始めるとき、組み立てるとき、たまにしか使わない道具(情報)と接するとき、ある事柄の背景や詳細を簡単に把握したい場合など、あなたも必ずお世話になっているはず。
「図解」を表現する場合は、ただ表面的なカタチをなぞるのではなく、その内部の本質的な部分に焦点を当てて表現者自身がまずのその構造を理解することが必要です。
このような説明のためのイラスト表現の巨匠!?として、デヴィッド・マコーレイを紹介しておきます。『The Way Things Work』をはじめとして、さまざまな説明的絵本が出ています。要チェック。
また、用語としての「イラストレーション」の説明はこちら。→イラストレーション(Wikipedia)
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