2009年11月27日金曜日

09 第8回

最終課題作品制作に向けて

津田沼祭(学園祭)で一週お休みでしたが、みなさん充電できましたか?
さて今日からは後半戦。基本はこれまで通り「時間内に決着」ですが、最終課題に向けて少しハードルを上げて行きます。ついてきてくださいね。

論理や概念の視覚化

今回はおもちゃの動きの背景にある物理現象を図解で説明することに挑戦してもらいます。

step-1 練習問題:説明の図解

実際には形として存在しない事柄を、図として視覚的に表現することは、デザイナーのスキルとして欠かせないものの一つです。これまでこの授業の中でチャレンジしてきた様々な図解表現を駆使して、説明的な文章から図解を紡ぎ出してみましょう。
ということで、「バイオ燃料」についての解説記事を題材に図表現にチャレンジしました。

フレーズ毎に絵解き的に図にできれば、入門編としては合格・・・

さらにそれらを統合して、全体を図に描ければ、インフォグラフィックスデザイナー適正、バッチリです。クラスの中にも何人か居ました。素晴らしい。

step-2 「説明」の視覚化

時分が選んだおもちゃの動きと、宿題として調べてきたそのおもちゃの動きにまつわる物理現象に関する知識を組み合わせて、説明インフォグラフィックスのためのアイデアスケッチを描き出しました。


step-3 模型を使った「説明」の準備

インフォグラフィックス制作の前に、模型を使った説明を試みます。今日のメイン作品はその模型制作のためのデザイン案をイラスト化すること。どんな模型を作るかをスケッチで表現し、次週の制作のための材料や加工方法について検討するのが目的です。

結果として、みんなあまり考えられていないなぁ。知らないことを表現するのは難しい。

次週の模型表現に期待します。

2009年11月13日金曜日

09 第7回

映像的な構成で描く

今回は、対象であるおもちゃが徐々に変化していく様子を、時系列に配置していくことによる図解表現を試みます。

step-1 動きを感じる表現

別の授業で、アニメーション表現の基本としての「仮現運動」について説明しました。人間は、コマ撮り写真のような複数の画像を連続してみたときにその差分を頭の中で動きとして認識している、ということですね。その発見が映画や様々な映像表現につながっています。
 今日のテーマはこの映像的表現を図解表現に応用するということです。絵コンテなどのように、コマ(画面、フレーム)を並べて、動きの遷移を表現する訳ですが、そのとき意識すべきポイントをまずは確認しておきましょう。

その1:動きとは移動または変形
移動はオブジェクトそのものは変化させずに位置や比率を変えて動きを表す方法。比率をかえることによって奥行きや視点の移動を表現できる。
変形はオブジェクトの形状を変えてしまう動き。

その2:モノそのものの変化 or 背景の変化
動きを感じさせるためには、動いているものそのものを画面の中で移動・変化させるか、動く対象を固定して背景の方を動かす方法があります。

その3:視点の設定と視界(フレーム)の固定
画面の中で動きを感じるには、何か基準になるものが用意されていて、その基準となるものと動くオブジェクトとの相対的な関係によって、動いていると知覚できる。基準の一つは画面の枠(フレーム)で、これが固定されることでオブジェクトの位置や形が変化すると、オブジェクトかそれを見ている自分のどちらかが動いていると感じる。

これらのポイントをレイアウトと効果的に組み合わせることで、時間的な変化を説明するための図解表現を実現できるのだ。

▲練習問題:何フレームあればひとつの「動き」を説明できると思いますか?

step-2 おもちゃの「動き」を分解してみる

練習問題をふまえて、目の前のおもちゃの動きをフレームに分解して描いてみましょう。

描いた絵で動きを表現できているか、デジタルカメラで各フレームをコマ撮りにして確認しながら表現を絞り込みましょう。

step-3 作品化

A3サイズという限られたスペースに、何フレームに分割して「動き」をレイアウトするかが、今日の表現のポイント。

それから、表面的な動きに気を取られて、肝心なしくみの部分が表現されていないのも、課題に対する「こたえ」としてはもの足りません。

step-5 振り返り

レイアウトする時に、どの部分を基準にして、どれくらいの範囲をフレームとして想定するかが、今回の表現の鍵となります。

▲どこで区切るか:連続的なコマのどこで区切りを入れるかを検討しましょう。

▲意味のまとまり:関連する要素の配置、目線の誘導、余白の活用は必須。

▲揃える:基準となる部分をどのように揃えるかによって、動きや変化の明示さに差が出ます。縦に並べるか、横に並べるかも、基準次第。

▲フレーミング:どの範囲までを表示フレームとするかによって、動きの全体像の把握しやすさも変わります。

2009年11月6日金曜日

09 第6回

ことばを図に

文章の構造を利用して説明の内容を図で現す、というのが今日のミッションです。

step-1 ことばを絵に、絵をことばに

今日の最初のステップは、ことばと絵それぞれの特徴と関係性を知ることです。

・ことばを絵に
まずは「猫」「食べる」「おはよう」など、さまざまなタイプのことばを絵で表してみます。

描き上がった絵だけを共有して、どんな特徴があるかを見てみると・・・。別の人が相談もせずに描いているのに、似たようなイメージになってしまっていますね。

これも表現のヒントです。このような共通のイメージを、積極的に利用したり意図的に避けたりすることによって、コミュニケーションを豊かなものにできるのです。
(参考リンク:絵で意味を伝えてみよう

・絵をことばに

さて今度は、自分が描いたことを一度忘れて、目の前の「絵」が何を描いたものなのか、突っ込みを入れてみましょう。「さかな」「ねこ」はまだしも、「食べる」「ともだち」「お早う」は、全く違うことばに変わっていませんか?

・絵とことばを組み合わせる
そこでこれらの絵に、元のことばを添えてみます。すると、なんということでしょう!「ともだち」という絵は「ともだち」にしか見えないし、「お早う」は完璧に「お早う」というイメージに見えてしまうではありませんか。

さらに今度は、元の意図とはちがう別のことばと絵を組み合わせてみます。すると、そこには想像力をかき立てる様々なイメージが浮かび上がってきます。

これが視覚表現を用いたコミュニケーションの奥深い、面白いところです。

step-2 動きをことばで説明してみる

さあここからが今日のメインプロジェクト。「ことばを絵に」の“ことば”の部分の表現の練習です。
2人ペアになって、それぞれ自分のおもちゃの動きを相手に説明します。相方はその説明の内容をメモしながら聞いてあげます。説明が解りやすいか、自分が理解できたかもフィードバックしてあげましょう。

説明がうまくできたら、説明した側の人は、そのメモを元に自分のおもちゃの説明を文章にします。出来上がった文章は、声に出して読んでみると(さらに相方に聞かせてみると)その内容が解りやすいか、言葉足らずかどうかもわかります。

説明の順序や詳しさ、ことばの選び方が、解りやすい説明文をデザインするポイントです。

step-3 説明の持つ構造を視覚化

出来上がった文章を元に、おもちゃの動く仕組みを図(チャート:図式)にしていきます。

文章をよく眺めてみると、説明の手順ごとに、いくつかのまとまりになっているはずです。このまとまりごとにイラスト化し、それぞれを矢印などでつないでいくと、チャートが出来上がります。

step-4 作品化

今回の作品では、チャートを主役に、説明の文章も画面の中にレイアウトしてみます。雑誌の見開き記事のようなイメージを目指して、美しく、カッコいい画面に仕上げてください。

こまで遊ぶ空気ポンプではねるカエル
コマが回るまでピョンピョン跳ねる親子ガエル
ぜんまいおもちゃたけとんぼ
説明の順序に工夫はあるか、文字と絵の相乗効果を活かしているか、説明のつながりがデザインされているか(番号、矢印、補助線など)。説明を魅力的にするチャートのデザインができたでしょうか?

step-5 振り返り

今日の表現は、簡単に言ってしまえば「取り扱い説明図」ということになりますね。授業終了後にある学生が、「自分のやってたことがそのまま箱の裏に書かれていました(汗)」と言ってきてくれました。そう、そのとおり。単に手順を伝えるだけなら箇条書きでも良さそうですが、文字を努力して読むよりひとめ見た方が早いし、絵の方が直感的に要点をつかめて解った気になれる、など、チャートを積極的に使うことで知識の共有の可能性は広がります。ただし、図にすることで解りにくくなってしまうこともあるのです。各要素のレイアウト(余白の使い方、要素の並び順など)、番号や矢印の使い方、イラストの品質、説明文と図(絵)の位置関係、タイトルの付け方やことばの選び方・・・。気になりだすといくらでも改善の余地はあり、それらをクリアすればそれだけ表現の質も上がる、と言うまさにグラフィックデザインの王道がここにあります。今後、自分のノートやプレゼンテーションの度にこの経験を思い返して応用してみてください。

今日のおまけ

今回は授業で言い忘れてしまったこともいくつかあったので、この記事で補っています。
それと今日の課題は私(原田)も完成とまではいきませんでした。悔しい!学生の方はだんだん、こつをつかんできたような気もします。でも、仕事が速くても結果としてザツなものになってしまっては意味がありません。クオリティを常に意識して、楽しい表現活動を続けましょう。では、また来週。