2009年10月2日金曜日

09 第2回

かたちをとらえて描く

いよいよ、今日から実制作の始まりです。
授業の開始前から、学生たちが持ち寄ったおもちゃで、にぎやかしいこと。
今日の演習は5つのステップを順に進めていく構成で、なんとか時間内に結果を出す、という目標を立てて進めました。

step-1 線で描く、面で描く、点で描く

線、面、点で描く練習まずはウォーミングアップ。A3スケッチブックに、マーカーなどで線をたくさん描いてみます。姿勢を正し、呼吸を整え、手先だけなくカラダ全体を使って気持ちよく。水平、垂直、円、波形と、いろいろな線を描いてみます。次はそれらの線の交差によって生まれた様々な形状を塗りつぶしてみます。丁寧に塗りつぶすというよりも、リズミカルに線で埋めていく、というイメージです。さらに、ドットを使って面の濃淡を表現してみます。点と点の間隔をコントロールすることで、濃淡だけでなく面の歪みも表現できます。
こんな単純な表現方法でも、研ぎすませていけば人を感動させる表現を生み出すことが出来るのです。

step-2 観察しながら描く

さて、それでは点、線、面を組み合わせて、用意したおもちゃのカタチを描いてみましょう。まずは、画面一杯に大きく。いろんな角度から。つぎは、そのもちゃの特徴的な部分を拡大して。

現物をしっかり見て描く。当たり前のことですね。
ところで立体物を平面上に表現する上で欠かせない技法が、遠近法です。透視図法とか、習いましたよね。これも応用してください。


step-3 技法を用いて描く

ここで言う技法とは、立体を平面に置き換える時によく用いられる、パターン化された表現方法のことです。

a. シルエット:そのものの全体が把握できるような角度からの輪郭線のみを捕らえた表現。光を当てた時に壁に映るそのモノの影。
b. ハイライトとシャドウ:モノの表面の凹凸に注目し、ある方向からの光が当たっている部分と影になる部分の2階調による表現。光の当たる角度と、それをどこから見るか、光と影の境界をどこに置くかがポイント。
c. ダブルトーン:2階調化した表現の陽と陰のそれそれに一つの色を割り当て、配色によってそのモノのかたちを印象づける表現。同系色、補色、寒色と暖色、進出色と後退色など、組み合わせの工夫で様々なイメージを創り出せる。
今回は、そのおもちゃの特徴を最も表していると思われる角度からのシルエットを描き、そこからハイライト部分を取り除くことでシャドウ部分を表現、そのシャドウ部分を使ってダブルトーン表現にもっていく、という手順でいろいろスケッチを描いてみます。

step-4 作品化

さあ「これだ」というイメージが出来上がったら、いよいよ作品化です。3つの表現をA3ケント紙に美しくレイアウトして、時間内に作品に仕上げました。



配色については別の機会にしっかりやらないといかんナぁ。

step-5 振り返り

最後は恒例「プチ展覧会」で他の学生の作品を鑑賞、今日のポイントを再確認して終わりました。
今回の課題は、これまでの演習授業で学んできた「観察からかたちを導き出す」という活動の応用でした。そして、受講生の皆さんがデザイナーを目指す限り、この活動は永遠に続きます。
技法という視点では「かたちを描くための技法」の応用でもありました。遠近法、配色、べた塗り・・・。実は、これらを効率よく結果に結びつけるツールが、グラフィックソフトや3DCGソフトだったりします。
逆に今回の課題の応用として、公共の標識やアイコンなどに使われるピクトグラムがあります。世の中に、どんなイケているピクトグラムがあるか、目を凝らして探してみてください。

図:今日の活動をふりかえり中

背中を見せる

実はこの授業、教員も一緒に制作してます。美術系と違ってアナログ表現の経験値が少ない受講生たちに、どこまでやればいいのかをことばで説明しても伝わらないと感じるからです。
ちなみに今回は、何人かの学生にはポスターカラーのベタ塗りで、負けましたorz...(25年ぶりだもんなぁ、絵筆)。

0 件のコメント:

コメントを投稿