測って描く
今回はのテーマは「測る:数値の視覚表現」。おもちゃのかたちそのものではなく、そのおもちゃの動きにまつわる「データ」をモチーフとした視覚表現に挑戦します。
今日も5つのステップを踏んで最終的に作品を作り上げる、というプロセスで進めていきます。
step-1 文字を書く
本題の表現に入る前に、プチ・レタリングの時間を設けました。
▲教科書の中の一行を、文字のかたちを見ながら3段階の大きさで書き分ける
文字も表現であり、表現の要素である、という意識を持ってもらうためです。せっかく表現を頑張っても説明のために入れる文字が「ダメダメ」では話にならないからね。手描き表現だからといって、文字のレイアウトや表示がテキトウでよい訳はないのです。
パソコンやグラフィックソフトがなくてもデザインはできる!
「画面に対して可読性を保持した最小の文字サイズ」をコントロールすることが、カッコいいレイアウトの鍵ですよ。
step-2 おもちゃの動きを測る
さて、ここからが本題です。おもちゃの動きをデータ化して表にまとめるのが、このプロセスでの活動。思いっきり遊んでよいけれど、そのおもちゃの動きを観察しながら、「動き」にまつわるさまざまなデータを抽出しなさい、というミッションでしたが、教室内はスゴいことになってしまった。
データといっても高度な計測機器はないので、用意してきた定規、メジャー、秤、分度器やストップウォッチなどを駆使して、寸法、距離、時間、重さ、速さ、強さ、タイミング、回数、など様々な視点からデータを集めました。どんな視点や方法でならそのおもちゃならではのデータを得られるか、それを考えて実践することが今日の一番大事なステップなのです。
ところで、別に普段遊べばいいのに、授業の中で遊べると嬉しいのはなぜだろう?
step-3 データの視覚化
このステップは、数値を図形に置き換えることによって、そのオモチャの動きの特徴を表現する練習です。得られたデータを直感的に把握できるような視覚表現に変換する方法を探ります。
矩形、円、三角形などの単純な図形を組み合わせて、「量」「数」「比率」などの数値を、長さや面積、グラフやチャートに置き換えていきます。
この表現は、データという実体のないコンテンツに表現によって形を与える、複数のデータの関係性によって全体像を語る、まさにコンテンツデザインの基礎練習となっています。
step-4 作品化
アイデアスケッチの中から、これはイケると思ったものを、A3ケント紙に美しくレイアウトします。
チェックポイントとして、
・どんなオモチャか:表現からそのオモチャらしさが溢れているか?
・どんなデータか:何を現すデータか、直感的に把握できるか?
・それがどうした:そのデータはオモチャの魅力に繋がっているか?
を挙げはしましたが、残念ながら、そこまで作品に盛り込むのは難しかったかな。
限られた時間の中での表現なので、ことば足らずだったり、データの内容と形状の整合性がとれていなかったり。作者にどう気づかせたらよいものか。でも、可能性を感じる作品もいくつかありました。
step-5 振り返り
データの視覚化と言えば、オットー・ノイラート。オーストリアの社会学者だったノイラートは1920年代に、ISOTYPEと呼ばれるピクトグラムを用いた視覚表現によって、統計情報を一般の人でも解釈できる身近なものとして提示しました。現在の公共標識などに使われているピクトグラム、アイコンの原点です。
(くわしくはウェブや書籍で調べてみてくださいね)
今回の制作活動のキーワードは「表」「グラフ」「チャート」。
それぞれの特徴と目的に合わせた表示方法の使い分けを、今日から意識しましょうね。
今日のおまけ
今回も、受講者と同じ条件で、教員も作品を制作。いやー、今回の課題は結構難しかったかな。少しでも、学生たちに刺激を与えられればよいのだが。
2009年10月9日金曜日
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